鏡の前でふと、自分の立ち姿を見たとき。
「なんだか疲れて見える」「背中が丸いかも」と感じたことはありませんか?
それ、実は“骨”や“筋肉”がちょっとだけチームワークを乱しているサインです。
姿勢は、ただ“見た目”の問題ではありません。
人間の身体は、200以上の骨と600以上の筋肉が連動して支え合う「構造美のシステム」。
どこかひとつのバランスが崩れると、他のパーツが助けようとして余計な力を使い、疲れや痛み、さらには気分の落ち込みにまで影響を与えます。
たとえば、頭。重さはボウリングの球ほどあります。
それを支える首や背骨、骨盤がまっすぐ整っているとき、重力は均等に分散され、身体は軽やかに動けます。
でも、スマホを見る姿勢や長時間のデスクワークで首が少し前に出るだけで、首や肩の筋肉は何倍もの負担を背負うことに。
「肩こり」「頭痛」「呼吸が浅い」――それらは小さな姿勢のズレが引き起こしているのです。
美しい姿勢とは、“力を抜いて立てる姿勢”のこと。
無理に胸を張るのではなく、骨が自然に積み上がり、筋肉が静かに支えている状態。
ヨガやバレエの先生がよく言う「軸を感じて立つ」という言葉は、まさにこの感覚です。
軸が通ると、身体の重さがスッと下に流れ、呼吸も深くなります。
その瞬間、顔の表情までやわらぎ、印象が変わる――まるで、身体全体が“本来の自分”に戻るように。
姿勢を整えることは、自分の身体を信頼し直すこと。
がんばって支えてくれている骨や筋肉に「ありがとう」と声をかけるように、
ほんの数分でも背すじを伸ばし、深呼吸してみてください。
姿勢は、意識するたびに少しずつ記憶されていきます。
私たちは本来、完璧なバランスを持つ存在。
それを思い出した瞬間から、“整う”は始まっている。