「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」という言葉を聞くと、
年配の人の病気というイメージを持つ方も多いでしょう。
しかし実際には、骨の老化は40代から静かに進んでいるのです。
しかもこの病気の怖いところは、自覚症状がほとんどないまま進行するという点。
転倒して骨折したとき、初めて気づくケースも少なくありません。
骨粗鬆症とは?
骨粗鬆症は、骨の中のカルシウムやコラーゲン(たんぱく質の一種)が減少し、
骨の密度と強度が低下して“もろくなる”状態のことを指します。
つまり、骨の内部がスカスカになる病気です。
特に女性は、閉経によって女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少することで
骨の新陳代謝のバランスが崩れ、骨密度が低下しやすくなります。
骨が弱くなる原因は加齢だけじゃない
近年は、20〜30代でも骨密度の低下が指摘されています。
原因は生活習慣の乱れや栄養不足。
- 運動不足(特に下半身の筋力低下)
- カルシウム・ビタミンDの摂取不足
- 無理なダイエット
- 睡眠不足
- 喫煙・過度な飲酒
これらの習慣が続くことで、骨の代謝が低下し、骨量が減少していきます。
骨は「使うほど」強くなる
骨は年をとるほど弱くなる…と思いがちですが、実は刺激を与えると強くなる臓器です。
ポイントは「重力」。
ウォーキングや階段の上り下り、軽いスクワットなどの荷重運動を行うことで、
骨に刺激が加わり、新しい骨をつくる細胞(骨芽細胞)が活性化します。
1日20分のウォーキングでも、継続すれば骨密度の維持に役立つと報告されています。
食事で“骨の材料”をチャージ
骨の健康を守るには、栄養の組み合わせが重要です。
栄養素 | 働き | 主な食品 |
---|---|---|
カルシウム | 骨の主成分 | 牛乳、ヨーグルト、小魚、小松菜 |
ビタミンD | カルシウムの吸収を助ける | 鮭、いわし、きのこ類、日光浴 |
たんぱく質 | 骨の土台をつくる | 肉、魚、卵、大豆製品 |
ビタミンK | 骨の形成をサポート | 納豆、ほうれん草、ブロッコリー |
これらをバランスよく摂ることが“骨の再生力”を高める鍵になります。
特に日本人はビタミンD不足が多いため、魚やきのこ類、日光を意識的に取り入れるのがおすすめです。
骨と姿勢の関係
骨粗鬆症によって背骨の骨(椎体)がもろくなると、
圧迫骨折を起こしやすくなり、背中が丸まる「円背(えんぱい)」の原因になります。
そのため、日常の姿勢を保つ筋力を維持することも大切です。
姿勢そのものが骨粗鬆症を直接防ぐわけではありませんが、
背筋や体幹を鍛えることで、骨への負担を軽減し、転倒・骨折リスクを下げる効果があります。
今日から始める“骨の貯金”習慣
- 毎日20分、歩くか階段を使う
- 魚・乳製品・大豆を毎日少しずつ摂る
- 太陽の光を15分浴びる(ビタミンD生成)
- 背筋を伸ばして座る習慣をつける
- 無理なダイエットをしない
骨はすぐには強くなりません。
でも、毎日の生活の中で積み重ねることで、確実に未来の骨を守ることができます。
まとめ:骨を守ることは「未来の自分」を守ること
骨粗鬆症は、痛みが出るころにはすでに進行している“静かな病気”。
だからこそ、予防こそが最大の治療です。
食事・運動・姿勢、この3つを意識して生活するだけで、
10年後のあなたの立ち姿は確実に変わります。
今日の一歩が、明日の骨を強くする。
骨は、努力に応えてくれる臓器です。