陸上競技選手にとって、適切な姿勢制御はパフォーマンス向上だけでなく、ケガ予防の観点からも重要です。Hennessy & Watson(1993)の研究では、姿勢とハムストリングスの柔軟性のアセスメントが、ハムストリングス損傷のリスク予測に有効であることが示されています。
不適切な姿勢は筋肉の活動パターンに影響し、特定の筋群の過負荷や不適切な力の伝達を引き起こします。これは短期的なパフォーマンス低下だけでなく、長期的なオーバーユース障害のリスク増加につながります。Sahrmann(2002)が指摘するように、姿勢のわずかな変化が運動パターンに影響し、ケガのリスクを高める可能性があります。
実践的なケガ予防アプローチとして、以下の要素が重要です:
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姿勢評価と弱点の特定
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種目特異的な姿勢リスク要因の理解
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個別化された姿勢矯正エクササイズ
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コア安定性の強化
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機能的動作パターンのトレーニング
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適切なウォームアップとクールダウンの実施
例えば、ハードルランナーにとっては、ハードリングにおける姿勢制御が重要で、Hanley et al.(2021)の研究では、世界クラスの男女ハードラーのバイオメカニクスが分析され、効率的な姿勢がケガリスクの低減に役立つことが示されています。
正しい姿勢制御の習得は、選手のキャリアを通じて継続的に取り組むべき課題であり、コーチと医療スタッフの連携、またはアプリ等を使用して改善することによってより効果的に実施することができます。
引用:British Journal of Sports Medicine, 1993