陸上投擲種目における姿勢の役割と最適化戦略

投擲種目(砲丸投、円盤投、ハンマー投、やり投)では、姿勢が力の生成と力の伝達経路に直接影響します。投擲動作は全身の連動した運動であり、地面からの反力を効率的に投擲物に伝えるためには、適切な姿勢の連鎖が必要です。

投擲選手に見られる姿勢特性として、上半身(特に投擲側)の筋肉発達の非対称性があります。この非対称性は競技特異的な適応ですが、過度の場合はパフォーマンス低下や障害のリスク増加につながる可能性があります。

投擲動作における姿勢の最適化には、以下の要素が重要です:

  • 体幹の安定性と回旋力の強化

  • 力の連鎖を促進する姿勢アライメント

  • 動的バランスの向上

  • 投擲側と非投擲側の筋バランスの維持

  • 関節の可動域と安定性の両立

特に投擲種目では「ブロッキング」と呼ばれる技術が重要で、下半身で生成された力を上半身に効率よく伝えるには、腰部と体幹の安定した姿勢が不可欠です。また、投擲前の準備姿勢(セットポジション)が後の動作連鎖に大きく影響することも指摘されています。

投擲選手のためのトレーニングプログラムでは、競技特異的な筋力発達に加えて、全身の調和的な発達と姿勢バランスを意識したアプローチが推奨されます。これにより、パフォーマンスの向上と長期的なキャリア持続性の両方を実現できます。

 

 

引用元:

Journal of Physical Therapy Science,2022

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