
「骨=身体を支えるもの」――そう思っていませんか?
けれど、近年の研究では、骨は単なる構造物ではなく、
ホルモンを分泌して全身のバランスを整える“臓器”であることが明らかになっています。
骨は「ホルモン工場」です
骨の中では、オステオカルシンというホルモンが作られています。
この物質は、骨を形成する「骨芽細胞」から分泌され、
全身のさまざまな器官にメッセージを送っています。
たとえば――
- 脳に働きかけて記憶力や集中力をサポートする
- 膵臓に作用してインスリンの分泌を促す
- 筋肉に信号を送り、運動能力を高める
つまり、骨は体の“静的な柱”ではなく、
動的に全身とコミュニケーションしている臓器なのです。
骨と筋肉はチームで動いています
筋肉を鍛えると骨も強くなる――それは単に力の伝達だけが理由ではありません。
運動によって筋肉から「マイオカイン」と呼ばれる物質が分泌され、
骨に「もっと再生しよう」という信号を送ります。
同時に、骨からもオステオカルシンが放出され、
筋肉のエネルギー代謝をサポートします。
このように、骨と筋肉はホルモンを通じて互いに会話しているのです。
骨が“心”に影響するって本当?
驚くことに、オステオカルシンは脳にも作用します。
マウスの実験では、このホルモンを投与することで
不安が軽減し、記憶力が高まるという報告もあります。
つまり、骨の健康は単に「折れにくさ」だけでなく、
感情や思考の安定にも関わっていると考えられています。
「骨身にしみる」という言葉。
もしかすると、昔の人はそのつながりを直感的に感じ取っていたのかもしれません。
骨を“臓器”として整えるには
骨は生きていて、日々新しい細胞に入れ替わっています。
運動、日光、たんぱく質、ビタミンD――
これらはすべて、骨のホルモン活動を支える大切な要素です。
姿勢を整え、重力をしっかり受け止めて立つこと。
それが、骨を“働かせる臓器”として保つ、いちばん自然な方法です。
骨は静かに、全身のリズムを支えています。
私たちは“骨で考え、骨で感じている”のかもしれません。